銀行・証券新型共同店舗が登場 

◆銀行と証券会社が同じ店舗に…

 銀行と証券会社が共同で支店を構える…。いわゆる共同店舗と呼ばれるスタイルですが、これまでは共同店舗といっても、同じフロアにあっても出入り口は別にする、フロア内では銀行の店舗と証券会社の店舗に間仕切りをする、電話・会議室などは共用できない…など諸々の規制がありましたが、この共同店舗に関する規制が緩和され、それを受けた新型の共同店舗が登場しました。その第1号がみずほ銀行とみずほインベスターズ証券が10月7日に東京・石神井に出店した共同店舗。形としては、従来からあるみずほ銀行石神井支店の1階フロア(みずほ銀行は1〜3階)に、みずほインベスターズ証券石神井支店を移転するというもので、銀行の窓口カウンター・ATMと証券会社の窓口カウンターが一つのロビーに面していて、利用客が双方を直接行き来することができるようになっています。
 また11月11日には、同じくみずほ銀行大森山王支店(東京都・大田区)の入居するビルにみずほアセット信託銀行大森支店を移転し、併せてみずほインベスターズ証券大森支店を開設することになっています(みずほ銀行は1〜3階、アセット信託と証券が4階フロアに入る)。

◆ワンストップショッピング機能の表裏

 みずほフィナンシャルグループの声明では、「みずほ銀行の持つ高付加価値の金融サービスと、みずほアセット信託銀行の持つ信託固有の各種サービス、また、みずほインベスターズ証が持つ資産運用を中心とする証券サービスをワンストップショッピングにて効率的にご利用いただけるようになります」としています。
 この中に出てくる「ワンストップショッピング」ってご存知ですか? 1ヵ所でいくつもの用事が済ませられる、あるいは必要なものが買える・そろう…といったような意味で、スーパーマーケットやデパートをイメージすれば良いでしょう。従来、銀行・信託銀行・証券会社それぞれの店舗に足を運ばなければならかったものが、1つの店舗で完結できるということになります。
 投資信託は銀行でも取り扱っていましたが、銀行へ行ったついでに株式も買えるというわけです。この10月から、銀行による変額年金保険などの販売も解禁されていますから、かなりの用事が銀行の店舗で済ませられます。1つのビルに入っていても、フロアが異なっていては、なかなかお手軽にという気分にはなりませんが、1つのフロアにそれぞれのカウンターがあって行き来できれば、確かに利便性は飛躍的に向上すると思われます。
 ただし、利用者としてしっかり認識しておかなければならない点があります。その店舗に行って、そこに用意されている商品・サービスの中から必要なものを選ぶということで納得できなければ、ワンストップショッピングといっても意味をなさないということです。人の購買行動というのは、欲しいものが決まっていて、それを売っている店を探して買いに行くという場合と、まずお店に行ってそこに売っているものの中から買うものを選ぶという場合。金融商品に関して言えば、同類の商品でも少しずつ内容が異なっていたり、同じ商品でも利率や運用実績が異なっていたりします。そうした内容を比較検討した上で購入する商品を決定するというのが本来あるべき姿であり、先の購買行動のパターンでいうと前者ということになります。
 したがって、ワンストップショッピングとはいうものの、すべてそこで済ますことができると考えるのは、やはり早計というもの。利便性というのは使う側が主導でその機能を活かすことではじめて成立するもの。銀行・証券のカウンターが同じフロアにあることで、銀行に来たつもりが証券会社のカウンターに座っていたなんていうことはないでしょうが、利用者側にもそれなりの眼が必要になることは間違いないでしょう。

(有)ワイズマネジメント 伊藤 裕